COLUMN経営コラム
マーケティング
2020.09.26
ブランド戦略が必要である理由とは
ブランド戦略に必要なコストが下がり、より大きな効果が見込める現在、ブランド戦略は非常に重要だ。
そこで本記事ではブランド戦略とは何か説明したうえでブランド戦略が必要な理由、よくある誤解を紹介する。
ブランド戦略とは
ブランド戦略とは「ターゲット顧客にとって魅力的に映る価値を決めたら、そのような印象を与えるために顧客体験や施策に一貫性を持たせる」ことを意味する。
ブランディング戦略という言葉からは、「ブランディング戦略専用の施策」がある印象を受けるかもしれない。しかし実際のところ、ブランド戦略は全ての顧客体験を対象とする包括的なものであることに注意しよう。
ブランド戦略が必要な2つの理由
ブランド戦略が必要な2つの理由を紹介する。
1.ブランドが商品選択を容易にする
ブランド戦略が必要な1つめの理由は、ブランドは商品選択を簡単にする働きを持つことだ。ブランドと聞くと高級ブランドなどをイメージする方もいるかもしれない。しかしここでいうブランドは割安な商品を含むブランドを指す。
ある調査によれば消費者は意識しているか意識していないかは問わず、1日に1,000ほどのブランドに接しているという。そしてこれらのブランドによって商品選択が容易になっている。
商品にブランド表記がなければ、お茶を買うのも大変だ。
例えば「綾鷹」というお茶を見たとき、「綾鷹」というブランドがあるからこそ、購入経験がある消費者は「お茶の味が濃いお茶」と認識できる。またこれまで飲んだことがない消費者もCMや広告のイメージで綾鷹は「味に拘ったお茶であること」「抹茶を使っており味が濃いこと」を予想できるだろう。
しかしブランド表記がなければ、緑の液体が並んでいるだけで違いがわからないといった事態が起こる。それでは消費者に商品を購入してもらうのは難しい。
ブランド戦略の選択肢の増加
ブランド戦略は以前から重要視されてきた。しかし近年さらにその必要性が大きくなっているのはデジタル時代の現在、ブランド戦略の選択肢が増加している。現代はITやスマホの登場によってこれよりもはるかに安価で顧客との接点を持つことが可能になった。
具体的には購買時のみではなく、購買前後の接点がSNSやスマホアプリ、ユーザー同士を結びつけたオンライン・オフラインでの交流などで増え、同時にブランド戦略の選択肢が増えた。
デジタル化以前はブランド戦略にはマス広告や電話によるカスタマーサポートなどといった限られた方法で行う必要があり、コストがかかるうえに効果が限定的だった。しかし現在では以前と比較して低コストでブランディングが行えるだけでなく、施策の選択肢が増えたことでより高い効果が見込める。
また、逆にいえばブランド戦略の選択肢が増え、大きな成果を出す企業が増えた中でブランド戦略に注力しないことは競合他社にビハインドを取ることに他ならない。
ブランド戦略のよくある誤解
ブランド戦略は限られた企業のためのものという誤解を持つ方も少なくない。
ブランド戦略に対してよくあるのが以下の3つの誤解だ。
①ブランド戦略には大きなコストがかかる
②高級品が対象
③マス広告を利用しなければならない
確かにコストをかければ成果が出やすいのは事実だ。またいくつかの商品ジャンルにおいては、マス広告が極めて有効なケースもある。しかし多くの場合には、以上の3つは誤解に過ぎない。
日本国内でのブランド戦略の成功例の1つとして有名なのが「スターバックス」だ。スターバックスは「おいしいコーヒーを優雅な空間で楽しめる」というブランドイメージの確立に成功したが、日本においては上場した日に新聞広告を出したきり、マス広告をほとんど活用していない。
必要なブランド戦略は異なる
ブランド戦略を語る際、多くの場合にはスターバックスは伊藤園など、大企業が例として挙げられることが多い。
そのため中小企業の方にとっては、縁遠いものという印象を受けてしまうかもしれない。しかし業種や業態によって必要なブランド戦略は異なり、全ての企業に大規模なブランド戦略が必要だというわけではない。会社の規模によってはSNSの運用やオウンドメディアの運用だけでも十分なケースもある。
まとめ
ブランド戦略は商品選択を容易にし、商品の購買を促進する。そのブランド戦略として他社との差別化を容易にするコントロールメディアを採用する企業も多い。デジタル化によってブランド戦略のハードルが下り、低いコストでより高い効果が見込めるようになった現在、ブランド戦略は必須といえるだろう。しかし必ずしもマス広告などが必要なわけではない。会社の規模にあったブランド戦略を見つけ、実行していこう。