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2023.03.14
今BPOが求められる背景とその導入効果について解説
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という言葉を聞いたことがあるだろうか。
アウトソーシングとは、企業が自社の主軸となるビジネスであり利益の基盤となるコアコンピタンス(競合他社に真似のできない核となる能力)に経営上の資源を集中し、それ以外の業務を切り出し、外部の企業に代替させるオペレーション上での改革手法のことを言う。
一方でBPOは、アウトソーシングの対象としてとりわけノンコアの業務プロセスに焦点を当て、定型または反復型の業務・運用を外部企業に移管することで、オペレーションだけではなく経営レベルでの改革を目的とした経営施策である。
この記事では、なぜ今BPOが求められるのか、その背景と主たるメリットについて解説していく。
BPOが求められる背景
BPOが従来のアウトソーシングと違うところは、より戦略的な視点から主要事業の現行の運営状況を明確にして、将来どのように変化するか予測し、最適化を目標に人材・モノ・カネ・情報などの限られた経営資源を自社のコア業務に集約することである。
それが、今日のグローバル競争を勝ち抜くための経営レベルのソリューションになり得るからだ。
近年、それぞれの企業が自社のコア領域を強く意識しつつ、他社との機能補完と相互依存関係を深めるビジネスモデルと言える「水平分業化」が拡大している。
これは、1つの企業が開発から生産、販売まで行う「垂直統合」と比較し、設備投資の負担や事業リスクを軽減できるという理由からである。
BPOはこうした水平分業を間接業務にあてはめて、企業間統合を推進するものという見方もできる。
それでは、なぜ今BPOが注目されているのだろうか。
それは、今後縮小されていくことが懸念されている国内市場では成長を見込めないと考える日本企業が、グローバル市場への進出の機会を窺っている中、限られた自社の経営資源を効率的に運用するためには、BPO導入が効果的に機能するからである。
海外市場へ進出した場合、従来のように独自のオペレーション体制を構築していたのでは、海外の先進企業に太刀打ちできるわけがない。
新規市場にスピーディーかつ柔軟に打って出る俊敏性や資産圧縮による経営効率の向上、セキュリティやコンプライアンスといったリスク管理は、いずれもこれからグローバル市場での競争力を必要とする日本企業にとっては、避けて通れない重点課題である。
BPOは、こうしたグローバル化を図る企業から、最適なソリューションとして期待されているのだ。
経営のスピード化
海外での事業展開でBPO導入する際の最大のメリットは「経営のスピード化」だ。
現在、日本の多くの企業が海外市場への事業展開を進めているが、大半は経営陣や営業部門、製造部門など事業のコアとなる人材は日本からその部門のエキスパートが派遣され、現地オペレーションの陣頭指揮を執っているのが一般的である。
今まではこの場合、間接部門に至るまで自前で組織を立ち上げ、自社組織のやり方を浸透させようとしていた企業が多かった。
しかし、新規の事業拠点を海外に展開するたびに総務、人事、経理などの間接部門までを組織化するとなると、現地駐在者の人件費や現地従業員の採用、教育、管理に関わるコストが発生するばかりでなく、市場参入のスピードを遅らせる原因にもなりかねない。
特に多くの日本企業は、海外でのブランド力が弱く、現地で優れた人材を採用することは容易ではない。
これは、企業そのものの認知度だけの問題ではなく、日本企業特有のマイナスイメージである「村社会」「日本語のバリア」「あ・うんの呼吸」「低賃金」「昇進の可能性が低い」などが妨げとなっているためである。
したがって、組織機能の構築に関してはすべて自社リソースに依存するのではなく、共通化が可能となる領域は集約し、グローバルBPOにゆだねるのが得策だ。
さらにこうした共通機能をグローバルで集約し、共通プラットフォーム化するのがベストと言えよう。
事業のコア部門だけを現地で立ち上げたら、後は共通プラットフォームに接続するだけで即刻事業が開始できるという、いわゆる「プラグ&プレイモデル」を実装することで、新たな市場への参入スピードが格段に早くなるのだ。
人材の最適配置
次に挙げられるメリットは、なんと言っても「人材の最適配置」である。
前述したとおり、従来の多くの日本企業は総自前主義を貫き、コア部門だけでなく間接部門まで自社のリソースで賄い業務を行ってきた。
しかし、自社だけでやれることには当然限界があり、市場スピードの変化が増している今日において、こうした過剰・余剰の経営資源の保有は経営効率を著しく下げることになる。
むしろ、自社の利益の基盤ではない業務(ノンコア業務)は外部の事業者に任せ、自社の経営資源を有効活用するべきなのである。
グローバルでのBPO導入は、汎用性の高い業務についてBPOのリソースやノウハウ、インフラを最大限に活用しつつ、自社においてはより戦略的業務や自社の核となる技術や能力に焦点を当てることで、企業全体の価値を高めていくことが可能となるのだ。
たとえば、経理部門はBPO導入の際、最も一般的な対象業務となるが、それは経理担当者が多くの時間をノンコアの業務処理に充てているためである。
このような業務は、企業に付加価値を生み出さないので、取り立てて自社内で処理し続けることの明確な説得性がない部門である。
むしろ、こうした業務を専門に扱っているBPOに集約し、そのノウハウやスキルを活用して、より効率的に処理を任せた方が高い生産性が得られるだろう。
一方で経理担当者は、財務分析やシミュレーションなどを実践して、事業部門の意思決定をサポートするなど、より付加価値の高い業務にシフトすることによって、企業全体としての価値を高めていくことを目指すべきである。
まとめ
この記事では、なぜ今日本企業にBPOが注目されているのか、その理由と主な導入効果について解説した。
海外市場で新たに事業を展開する企業を例にとって説明してきたが、これは日本国内で事業を展開している企業にも当てはまるビジネスモデルであると言える。
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