COLUMN経営コラム
マーケティング
2020.09.16
市場シェアを占有した企業にもたらされる恩恵とは
市場シェアについて知ることで、自社が今何をすべきなのかを理解しやすくなる。
そしてその理解に基づいてマーケティング戦略を練ることで、より効果的なマーケティング施策を行える可能性が高まるだろう。
そこで本記事では市場シェアについて解説していく。
市場シェアとは?
市場シェアとは対象となる企業や製品などの売上高や販売数量が特定の市場の中で締めている割合を指す。
たとえばある市場全体における総売上が1億円で、その中で5,000万円の売上を誇る商品が現れれば、その商品の市場シェアは50%だ。
市場シェアは対象の企業や製品が市場の中でどのくらいの重要度や影響力を持っているのかを表す指標になる。経営側は市場シェアのデータをもとに自社のポジションや市場の動向を把握し、市場の将来予測などを行う。
なお特定の地域や年齢など、限定した市場(対象市場)におけるシェアが重要になるケースも多い。たとえば滋賀県を中心に店舗を持つ総合スーパーの平和堂は日本全国の市場のシェアは小さいが、滋賀県内での市場シェアはトップクラスとなっている。
市場シェアを占有した企業にもたらされる恩恵
市場をかなり細分化するか、新しい市場を作った際の新規企業の参入までの期間以外に、文字通りの市場シェアの占有を行うのは難しい。しかし市場シェアを占有できれば、大きな恩恵が企業にもたらされる。
まず市場シェアが大きくなれば、利益率が大きくなる。市場シェアが大きければ、取引先との取引率が高くなり、市場を点ではなく面で抑えることが可能だ。そして質の良い情報が入ってくるだけでなく、価格付けでイニシアチブを握ることもできる。
入ってくる情報量が多くなれば、次にヒットする商品・有望な市場の予想が容易になるだろう。また、高い市場シェアを誇る企業が商品の価格を下げれば、市場シェア下位の企業は同率がそれ以上に価格を引き下げざるを得ない。
市場シェアによる4つの分類
市場シェアに対する理解を深めるために市場シェアによる4つの分類を紹介しよう。
リーダー
同一市場内でシェアがトップの商品がリーダーだ。
リーダーの性能や味、価格、内容量などが業界で標準的なものと認知されることが多い。リーダーは消費者に最も広く認知され、売れているからだ。市場内の標準となるリーダーは、追随する競合商品の目標となり、多くの側面で市場調査の対象となる。
チャレンジャー
リーダー商品とは異なった性能や味、成分などを持ち、その違いをアピールすることで消費者から支持を受けて、現在の業界標準であるリーダーに取って代わろうと狙うのがチャレジャーだ。チャレンジャーがトップシェアを奪うには企業努力はもちろん、マーケティング戦略も重要だ。
フォロワー
リーダー商品とほぼ同じ商品を販売することで、一定のシェアを獲得することを目標にしているのがフォロワーだ。
商品の持つ性能や味、成分などはリーダー商品と差別化せずに、ほとんど同じというケースも多い。チャレンジャーとは異なり、リーダーに取って代わろうという意思はない。
ニッチャー
ニッチャーは少数のロイヤリティーの高いファンを獲得している小規模企業の商品を指す。シェア拡大やリーダー商品は意識せずとも、少数のファンの支持を受けて安定するケースも多い。
クープマンの目標値
コロンビア大学の数学教授バーナード・クープマンの市場シェアの考察「クープマンの目標値」の6つの目標値を紹介していこう。
独占的市場シェア:73.9%
市場シェアが73.9%を超えている状態である。絶対的優位に市場を支配している。ハンバーガー市場のマクドナルドなどを除き、ごく稀なケースと言える。
相対的安定市場シェア:41.7%
安定的なトップの座を確保している状態。他社の動向は無視できないが、安定した事業が可能。異業種への参入や企業買収が視野に入る。
市場影響シェア:26.1%
市場の中の強者といえる最低ライン。競合企業に動向が注目されており、新商品の販売や値下げなどを行う際に追随する企業が多い。
並列的競争シェア:19.3%
上位グループには入るものの、市場影響シェアほどの地位を得られていないのが並列的競争シェア。業界1位が並列的競争シェアの場合もある。
市場認知シェア:10.9%
消費者と競合他社のどちらからも認知される最低ライン。競合からは認知されているものの、動向が注目されることはないため、上位企業が気づく前に既存の商品にはない価値を提供する新規事業をはじめ、新たな市場で独占的な市場シェアを獲得できるケースもある。
市場存在シェア:6.8%
新規参入した場合の最初の目標値。消費者が助成想起可能なラインだ。6.8%以下のシェアしか獲得できない場合には撤退も視野に入る。
市場シェアのまとめ
高い市場シェアの獲得は簡単ではないが、獲得できれば価格付けで市場のイニシアチブを握り、安定的な事業展開が可能になる。本記事で解説した市場シェアについて理解し、有効なマーケティング戦略に役立てて欲しい。