COLUMN経営コラム

マーケティング

2023.03.28

日本における消費者の価値観はどのように変化したか

日本における消費者の価値観はどのように変化したか

30年以上続いた平成の時代が終わり、令和が始まり早5年。

平成時代の世界の出来事を見ると、東西冷戦の終結、同時多発テロ、リーマン・ショックなど激動の時代であり、我が国においてもバブル崩壊とその後長期にわたる経済の停滞、東日本大震災とそこからの復興など、日本人の価値観に大きな変化をもたらす出来事がたくさんあった。

マーケティングを効果的に実践するにあたって、消費者の動向を知ることは不可欠であるが、近年の日本における消費者の価値観がどのように変化していったか解説していく。

情報端末の普及が及ぼす影響

かつては「お茶の間」と言えば、テレビを見ながら家族が会話する団らんの場であった。

昭和でよく見かけたちゃぶ台がダイニングテーブルやソファに変わったとしても、団らんを重視する家族のあり方は続いてきた。

同じ空間で共に食事をとったり、テレビを見ながら感想を言い合ったりしながら、親は子や配偶者が何を楽しみ、何に悩んでいるのか、心身の調子を知る場であった。

また、子どもは安心できる家族とふれあいながら、人とのコミュニケーションの取り方や周辺への気遣いを学ぶ場でもあった。

家の中心にあって大切な役割を果たしていたお茶の間であるが、現代の日本ではその光景が消え去ろうとしている。

その背景には、スマートフォンやタブレットの端末を個々で保有し、それぞれの興味に応じて情報収集したり、友人とのコミュニケーションをしたり、ゲームや動画・音楽のコンテンツを楽しむようになったことが大きな理由と言えよう。

たとえば、家族が同じリビングルームにいても、それぞれが自分のしたいことを楽しみ、興味や行動を共有しないような家族が日本では増えている。

それには、スマートフォンやタブレットといった個人端末の普及が、特に大きな要因となっている。

スマートフォンの個人保有率は、2012年で23%であったのに対し、2018年には70%超え、2022年には94%にまで達している。

まさに家族一人ひとりに1台ずつのスマートフォンという状況である。

利用状況であるが、特に注目したいのは「インターネットショッピング」「商品の評価サイトの閲覧」「ネットバンキング」などの消費・バンキングなどの金銭のやり取りに関わる項目が大きく伸びている点である。

2015年当時では「お金に関することはスマートフォンではまだ不安」という消費者意識が窺えていたが、今では何でもかんでもスマートフォンで解決する消費者が増えていることが分かる。

家族間でも個人志向が強まる

家族として生活の空間を共有していても、それぞれが干渉しないで自分の趣味やコミュニティを楽しむようになったことは、生活価値観にも変化を及ぼした。

野村総合研究所が2021年に公表した「生活者1万人アンケート調査」によると、背中合わせの家族傾向はさらに強まってきているという。

アンケート結果の中でも大きく伸びている回答として、「夫婦の間で秘密を持ってもかまわない」「夫婦はお互い経済的に自立した方が望ましい」「夫婦は自由時間の使い方に干渉すべきではない」などの項目があり、夫婦であっても余暇の時間・人間関係・消費を個人的に楽しもうとする家族内個人志向的な傾向が窺える。

参考:野村総合研究所NRI「生活者1万人アンケート調査」
https://00m.in/KCgGl

ただし、「夫婦間の秘密」といってもさほど大袈裟なものではなく、「夫には言っていない買い物がある」、「妻に知らせていない休日がある」といった、趣味で使う少し高価なものを自分の小遣いで買ったり、時々家族に知らせずに自分だけの自由な休日を過ごしたりするようなささやかな「秘密」がこの消費者アンケートで語られている。

また、興味深いのは「夫婦はお互い経済的に自立した方が望ましい」という回答への共感度は、以前から男性と比較して女性の方が高い傾向にあることだ。

「夫婦で秘密を持っても構わない」とする意識は、男女とも同じ位の割合であるのに対し、経済的自立については夫よりも妻側の意識が高いことがわかる。

このような夫婦の余暇の取り方や経済面での自立の背景には、夫婦がスマートフォンを通じてそれぞれのネットワークを活用していることに加え、雇用環境の変化による女性の経済的自立、働き方改革により夫婦ともに自由な時間を持つことができるようになったことなどが挙げられる。

消費行動と消費意識の変化

夫婦や親子の個人化が進んだ結果、消費も個人別に行われるようになった。

リビングルームでそれぞれがスマートフォンを操作しながら、夫は無料の動画を視聴し、妻は電子書籍をダウンロード、娘は気になる商品の口コミをチェックなどという場面が、現代では一般的な光景になった。

また、ダウンロードや購入のためのアカウントを家族で共有していれば、お互いの興味や消費行動も窺い知ることもできるが、もし家族がそれぞれのアカウントを持っているのであれば、お互い何をダウンロードし、何を購入したか知ることはない。

スマートフォンがそれぞれの余暇での活動やコミュニケーションだけではなく、消費のための情報収集やネットショッピングに使われるのは、現代では至極当たり前の光景である。

そして、その消費行動はリアル店舗やパソコンから、スマートフォンへと急激にシフトしてきている。

その結果、個人化することによって、家族に知られることなく行われるようになってきているのである。

さて、次に消費スタイルについて見ていこう。

先に紹介したアンケート調査によれば、「安さよりも利便性を重視」する意識が2000年では37%であったのに対し、2021年では41%とさほど変化は見られない。

一方で「自分が気に入った付加価値には対価を払う」という言わばプレミアム消費型が2000年では13%であったが、2021年には24%にまで増大している。

また、「製品にこだわりがなく安ければよい」という安さ納得消費型が2000年では45%占めていたのに対し、2021年では24%にまで減少している。

経済的に好転したというよりは、コロナ禍に入った2021年は在宅勤務が多かったため、時間的余裕が生まれたことが消費意識の変化につながったのだと考えられる。

まとめ

現在ではスマートフォンの普及が50代で90%程度、70代でも半数以上に達していることから、まだまだこの先も個人志向が強まるのと同時に、インターネットでの消費は伸び続けるだろう。

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