COLUMN経営コラム
マーケティング
2020.04.17
バカ売れ商品にするマーケティング心理学
あなたの会社はどのように集客しているだろうか。
広告、ポスティング、DM、電話営業、紹介などのいずれか、あるいはすべておこなっているところもあるだろう。
しかし、集客は販売をおこなうまでの過程にすぎず、集客したからには商品を売らなければならない。
科学者による20年以上の研究と実験の結果、顧客の「欲しい」という心を動かすのは人の脳の中に存在する原子脳(爬虫類脳)への刺激だということがわかった。
本記事ではこの「欲しい」を引き出す原子脳への刺激の方法をご紹介しよう。
人の購買活動を促す3つの痛み
2017年、行動経済学でノーベル賞を受賞したリチャード・セイラーを含めた科学者達は、脳内で意思決定をしているのは理性脳ではなく、無意識のうちに活動する原子脳であることを発見した。また、この20年以上に及ぶ研究により、人は痛みを回避するために購買活動をするという事実を突き止めた。
この痛みと原子脳への影響は大きく次の3通りに分けられる。
1.金銭的な痛み
収入の損失、利益の低迷、投資利益率の悪化など、財政的な要素に関連する痛み。一般的に、金銭的な痛みは目に見えやすいのが特徴だ。
<原子脳への影響>
・不十分への恐怖
・損失への恐怖
2.戦略的な痛み
戦略的な痛みとは、製品やサービスの開発、製造、販売、発送などに関わるビジネスリスクによる痛みを指す。
例えば、品質の低下、生産性の低下、顧客満足度の悪化などがある。戦略的な痛みは、金銭的な痛みと違い目に見えないものが多いのが特徴だ。
<原子脳への影響>
・無知への恐怖
・制御不能への恐怖
3.個人的な痛み
購買判断に影響する否定的な感情。強いストレス、仕事への不安感、長時間労働などがあてはまる。
<原子脳への影響>
・無力への恐怖
・無価値への恐怖
・消滅への恐怖
原子脳を刺激した成功事例
ドミノピザ
ドミノピザは創業時、ピザを売りにした宣伝をおこなっていなかった。
そこでドミノピザがとった戦略は「ピザの到着時間が分からないことに対する不安」を解決した「30分を超えたらピザを無料で提供する」という画期的な方法だった。
このピザの到着時間を伝達することにより、ドミノピザは大きな成功をおさめた。
ドミノピザの「30分を超えたらピザを無料で提供する」というキャッチフレーズは顧客の痛みに対する治療法となったのだ。
Uber(ウーバー)
アメリカ企業のウーバーは自動車の配車サービスを提供している会社だ。
あなたはタクシーがなかなか捕まらないことにイライラしたことは経験はないだろうか。
ウーバーは顧客の痛みの解決に的を絞り、いつ来るのか、いくらかかるのか、などといった悩みを解決した。
ウーバーのこの戦略により現在では、700億ドルという巨大市場を築き上げている。
価値の証明で購入率がUPする
説得戦略
社会心理学者であるロバート・チャルディー二は、「影響力の武器」という著書の中で、人を説得するときの効果的な方法を6つ定義している。
社会的証明
多くの人がとっている行動を、ほかの人も真似ようとする。
一貫性と公言
将来、自分はこんな行動をとる、といったん口にすると、人はそれに従わなければならないという心理状態になる。
返報性
相手から何かをしてもらうと、それに対してお返しをしたいという思考になる。
好意
相手に好意を抱くと、その人になにかをしなければという気持ちになる。
権威
その道の専門家であると認識されることで、その人の発言力や影響が大きくなる。
希少性
珍しいものほど価値が高いと感じられる。
これらはビジネスの現場において、お客様の声や試供品、専門家によるお墨付きなどさまざまな場面で活用されている。
デモンストレーション(実演)
デモンストレーションは、視覚的要素や小道具などによって製品の価値を実証する方法だ。
顧客は、目の前で製品の品質を確かめることができるため、価値を判断しやすくなる。このデモンストレーションで顧客の想定していた価値を同等または上回っていた場合、高確率で購入してもらえることになる。
この方法は、店頭やテレビショッピングなどでよく見かける通りマーケティング手法として広く受け入れられている。
データでの証明
データとは、出所が明確にわかっているものほど説得の効果がある。さらに、いくつかの実験から、データを数量化することにより説得の効果が増すことが示されている。また、専門家からの情報だと認識できることでより信頼性を高めることができる。
まとめ
商品は存在をアピールするだけでは売れない。
マーケティングにおいて、商品を売るということは顧客の心理を見抜くことだ。そうすることで、商品の売れ行きは大きく変わってくる。人間心理の本質を理解し、ぜひ経営の実務に役立ててみてほしい。