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マーケティング

2021.04.19

成功事例から学ぶ口コミマーケティングの方法

成功事例から学ぶ口コミマーケティングの方法

口コミマーケティングは、費用対効果の高いマーケティング手法として、今、高い注目を集めている。しかし、口コミマーケティングをするためには何をすれば良いのか、どうすれば口コミマーケティングを成功させることができるのか、よくわからないという経営者は少なくないだろう。

今回は、ユーザーが口コミをする心理を解説した上で、成功事例から学ぶ口コミマーケティングの方法を紹介する。

口コミマーケティングをする上でおさえておきたい「ユーザーが口コミをする心理」

口コミマーケティングを成功させたいのであれば、まず、ユーザーが口コミをしようとする際に働く以下の3つの心理についておさえておこう。

尊敬・評価されたい

多くのユーザーは「良い商品・サービスを手に入れたことについて、周囲から尊敬されたい」「商品・サービスの有益な情報を発信することによって、周囲から評価されたい」といった欲求、マズローの自己実現理論で言うところの第4層にあたる承認欲求、あるいは第5層にあたる自己実現欲求を満たすために口コミをすると言われている。できるだけ多くのユーザーに口コミを広げてほしいのであれば、ユーザーの承認欲求や自己実現欲求を満たせるような魅力的で良質な商品・サービスを提供することを第一に考えると良いだろう。

理想のコミュニティを実現したい

マズローの自己実現理論は5段階から成るものとして広く知られているが、実は、マズローは晩年、欲求階層は6段階から成るものと改めていたことをご存知だろうか。最後に現れるとされるその欲求は、理想のコミュニティ、具体的に言えば、誰もが幸せになれる社会を実現したいという自己超越欲求だ。自己超越欲求を持つことができるのは2%であるとされているが、その2%の力は大変大きい。ユーザーが社会貢献に役立てる場などを提供し、自己超越欲求を持つユーザーを味方につけることができれば、口コミマーケティングを大いに盛り上げることができるだろう。

自分が得た利益や恩に報いたい

誕生日などに思いがけず素敵なプレゼントをもらったとき、多くの人は「今度は自分が素敵なプレゼントを用意してあげなければ」と考える。
また、困っているときに助けられると、「恩返しがしたい」と強く思う人も少なくない。このように、自分が得た利益や恩に報いたいと感じる心理を返報性の法則と言うが、この法則を利用すれば、多くの口コミを集めることができる。商品・サービスを購入してくれたユーザーにサプライズ特典を与えるなどし、ユーザーが支払った金額以上の価値を提供できれば、多くのユーザーがその恩に報いようとして口コミを寄せたり、広げたりしてくれるだろう。

成功事例から学ぶ口コミマーケティングの方法


口コミをするユーザーの心理については理解できたものの、具体的な方法が浮かばずに困っているという経営者は多いだろう。以下より、成功事例から学ぶ口コミマーケティングの方法を5つ紹介する。

【日本たばこ産業】インフルエンサーの起用

日本たばこ産業は、加熱式電子タバコのPloom TECH(プルームテック)を若い女性に広げるため、Ploom TECHアンバサダーとしてInstagramで10万人以上のフォロワーを擁するインフルエンサーの伊藤亜里沙さんを起用。その結果、3,200以上のいいねを獲得し、Ploom TECHのクリーンでおしゃれなイメージを広げることに成功した。このように、商品・サービスに付加したい価値とマッチするインフルエンサーを起用すれば、商品・サービスの魅力を十二分に伝えることができる。

【良品計画】お得なキャンペーンの実施

良品計画は、無印良品有楽町店が10周年を迎えた際、「無印といえば」というテーマでよく行く店舗でのエピソードやお気に入りの商品、無印のイメージなどをTwitterおよびFacebookで投稿すると10%割引になるキャンペーンを実施。2,100以上のメッセージを獲得し、売上を倍増させることに成功した。このように、顧客にとって利益になるキャンペーンを実施すれば、多くのユーザーが商品・サービスの口コミを広げてくれる。

【クラシエフーズ】話題性のあるキャンペーンの実施

クラシエフーズは、フリスクのマスカットミントフレーバー新販売を記念してTwitterで「フリスク(FRISK)」とつぶやいたユーザーにリムジンでバイオリニストの生演奏と朝食を楽しめる「さわやかすぎる通勤」をプレゼントするキャンペーンを実施。インターネット上で大きな話題になり、Twitterではフリスクに対するポジティブな内容のツイートが15%増加したという。このように、奇をてらった話題性のあるキャンペーンを実施すると、多くのユーザーの注目を集められるのみならず、商品・サービスのイメージアップを図ることができる。

【江崎グリコ】ユーザーを巻き込むイベントの実施

江崎グリコは、ポッキー&プリッツの日(11月11日)を祝し、Twitterにおいて24時間で「ポッキー」というワードを含んだツイート数がどこまで増えるか、ギネス世界新記録に挑戦するイベントを実施。目標の200万ツイートを大きく上回る371万ツイートが寄せられ、ギネス世界新記録を達成した。このように、ユーザーを巻き込むイベントを実施すると、ユーザーのアクションを強く喚起することができる。

【一条工務店】あえて宣伝をしない

一条工務店は、全国区のハウスメーカーでありながら、CMをはじめとする宣伝活動をほとんど行っていない。
しかし、そのためか、一条工務店に関する情報を発信・共有したいというユーザーによって1,200を超えるブログが運営され、Instagramでは29万を超える投稿が寄せられている。このように、あえて宣伝をしないでおくと、ファンとなったユーザーが進んで口コミを発信してくれるようになることを期待できる。

まとめ

口コミマーケティングを実施する際には、口コミをするユーザーの「尊敬・評価されたい」「理想のコミュニティを実現したい」「自分が得た利益や恩に報いたい」といった3つの心理を理解し、それらの欲求をかき立てる施策を打ち出すと良い。今回紹介した「インフルエンサーの起用」「お得なキャンペーンの実施」「話題性のあるキャンペーンの実施」「ユーザーを巻き込むイベントの実施」「あえて宣伝をしない」といった方法を参考にし、ステルスマーケティングに注意しつつ、自社の商品・サービスの魅力を伝えるのにふさわしい口コミマーケティングを実施しよう。

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