COLUMN経営コラム

マーケティング

2020.02.03

良い戦略と悪い戦略の診断「4Sチェックと5C分析」

良い戦略と悪い戦略の診断「4Sチェックと5C分析」

戦略には良い戦略と悪い戦略がある。
目的を達成するための経営資源を正しく投入していくためには言うまでもなく良い戦略をたてなければならない。
マーケティングの戦略において典型的なものさしがある。

本記事では良い戦略を実行するための基準や方法についてご紹介しよう。
成功するマーケティング戦略の作成方法については下記記事を参考にしてみて欲しい。
成功するマーケティング戦略の作成方法

戦略(Strategy)の4Sチェック

マーケティング戦略においての典型的なものさしについて戦略(Strategy)の4Sチェックというものがある。
マーケティングでは以下の4つの基準を満たした戦略は良い戦略である可能性が高いとされている。

1. Selective(セレクティブ・選択的であるか。)

セレクティブとは、やるべきこととやらないことが明確に決まっているかということを指す。
やるべきことを明確にすることにより、経営資源を必要な場所にだけ投入することができる。あれもこれもとならないことが経営資源の無駄をなくす。

2. Sufficient(サフィシエント・十分であるか。)

サフィシエントとは、経営資源が十分であるかどうかということを指す。
戦略に投入されると決まった経営資源が目的を達成するために十分確保されている必要がある。この考え方は、Selectiveと相互関係にある。

3. Sustainable(サステイナブル・継続可能であるか。)

サステイナブルとは、決めた戦略が短期的ではなく、中長期的に継続可能であるかという基準のことだ。
中長期的に継続できる戦略であればあるほど、競争優位にたつことができる。経営資源が途中で不足し、継続が不可能になる可能性がある作戦は問題があるとされている。

4. Synchronized(シンクロナイズド・自社の強みを活かせるか。)

シンクロナイズドとは、自社の強みや弱みを有利に利用できているかという基準を指す。

自社の特徴を生かした戦略であるほど当然成功の確率は高くなる。逆に、自社の弱みがカバーされていない戦略では失敗の確率が高まる。自社の競合他社と比較し、競合他社にとっての弱みが逆に自社の強みである場合は競争においてとても有利になるという考え方だ。

これらが良い戦略と悪い戦略を判断するマーケティングの4Sという戦略を立案するうえでの基準となる。
戦略を実行するにあたり、必ずしも4項目すべてが完璧である必要はない。
しかし、基本的な判断基準となるもので、明らかにクリアされていない状態であれば、その弱点を補うための方法として準備しておくと良いだろう。

市場分析の視点「5C分析」

自社の戦略を実行するにあたり市場の分析は重要なことのひとつとされている。
5C分析とは、自社の市場を理解するにあたり、必ずおさえておきたい視点となるためぜひ参考にしてみてほしい。

1. Company(カンパニー・自社の理解)

5C分析におけるカンパニーとは、まず自社の戦略を理解すること。

①会社の方針に反するものではないか。
②経営資源がどれだけあるか把握できているか。
③自社の強みと弱みを理解できているか。

これらをまず理解する必要がある。

2. Consumer(コンシューマー・消費者の理解)

コンシューマーとは下記に示す3つの自社の消費者を理解することを指す。

①消費者の数的理解

消費者の年齢、性別、人口、世帯数、認知率、購入頻度など。
数字で表すことのできる単位での理解は十分であるか。

②消費者の質的理解

消費者の深層心理を理解すること。
消費者が目に見えて足りないニーズを導き出すだけではなく、消費者インサイトという消費者自身が気づいていない深層心理への理解はできているかという考え方。
インサイトの爆発力|売れるインサイト、売れないニーズ

3. Customer(カスタマー・中間業者への理解)

カスタマーとは、自社と顧客のあいだにいる流通業者の理解ができているかの基準だ。
戦略を実行するにあたり、取引先業者の方針の妨げになっていないかに着眼する。強引な戦略である場合、短期的な戦略に終わるおそれがあるためだ。
自社と取引先業者の方針が一致する必要はないが、物流やコストにおいては中長期的に継続可能であるかの判断を満たす必要がある。

4. Competitor(コンペティター・競合他社の理解)

コンペティターとは、市場のシェアのパイを奪い合う競合他社を理解するということを指す。
ただ単に同じ商品を扱っている競合他社を把握するだけではなく、業界全体を理解する必要がある。これは、自社が消費者へ提供している価値を明確にする重要な分析基準になる。

5. Community(コミュニティ・社会に対する影響への理解)

コミュニティとは、自社ビジネスや戦略が社会に適合しているかという考え方を指す。
法律の規制、消費税率、世論などを理解し、不利な外部要因がないかを把握しておく基準だ。自社でコントロールすることのできない外部要因を理解することで、必要に応じて事前に代替案を準備しておくことができる。

まとめ

本記事では戦略を実行するための判断基準を紹介してきた。

戦略は自社の思い込みだけでは成功させることは難しく、自社ビジネスが与える影響も理解しておく必要がある。

日本においては、マーケティングという言葉がひとり歩きしていることが多いが、マーケティングを理解し実践している企業はまだそれほど多くない。

あなたのビジネスで戦略の立案や実行をするにあたり、4Sチェックと5C分析を成功率を高めるための判断基準として活用してみてほしい。

 

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